パンツが見える。―羞恥心の現代史 (朝日選書)
パンツが見える。それを喜ぶのは男性で、見られて恥じらうのは女性。でも、つい50年ほど昔まで、たかがパンツごときでときめく男はいなかった。なぜなら、和服の女性はパンツを穿いていなかったから、ふとしたはずみでチラリと見えてしまうのは、パンツなんかじゃなかった…。「陰部を見られても、場合によっては仕方ない」、それが戦前の女性の感覚だったはず。だから、多くの女店員が裾の乱れを恥じて墜落死したという「白木屋ズロース伝説」は眉唾だ、と説き起こす。「パンツ」をめぐる感性の興亡を考証する、著者10年の思索の結実。
そのタイトルが印象的ですが
いわゆる下品な本とはちょっと違い
なぜ女性はパンツを見られたら恥ずかしがるのか
その歴史的背景をさぐった本です。
大昔はそもそもパンツを履いておらず
着物の下は腰巻しか巻いておらず
真下から見たら丸出しだった、と。
それがなぜいまに至るとパンツですら見られるのが恥ずかしい。
この心境の変化はなぜか、
昔の文献から分析し、ひもといていく一冊です。
正直引用が多すぎるな~と感じました。
著者さんご本人も「しつこいかと思うが」と途中で言っていますが
そうならもうちょっと削ろうよ・・・という感じ。
テーマはおもしろく興味深いのですが
似た話の引用が多く、納得はさせられるのですが
その分くどい。
結論までが長い。
結論は、
洋装になるにしたがいズロースが全盛になるものの
それは見られても恥ずかしくない。
だって丸出しだったことを考えれば、布で隠されているんだから。
戦後になりズロースが発展しパンティとなり、
それも当初はどちらかというと脚のほうがセクシャルな
象徴として見られていたものの、
いわゆるパンチラを喜ぶ男たちの声、
そしてそれを雑誌等で見た女性たちが恥ずかしがる・・・
という流れがあったのではないか、と。
風俗史としてなかなか興味深い内容でした。
一読の価値はあり。