[最近読んだ本]「食と文化の謎」「日本の歴史をよみなおす (全)」

食と文化の謎 (岩波現代文庫)


これは名著!!

タイトル通り「食」と「文化」の関係に
興味がある人ならぜひ読むべし。

章の分け方が秀逸。
「牛」「豚」「鳥」「馬」、そして「虫」
さらには最終的には「カニバリズム」まで。
動物ごとに章立てしてあります。


どの章も刺激的な論考が並ぶ上
学術書にありがちな難しい文体とは一線を画す、
ジョークが多々交えられた文章。
読みやすい。


文化は、宗教にも言及。
なぜイスラム教は豚を、ユダヤ教は牛を食べないか。
気候的な条件もまじえて解説するので説得力がある。

結構分厚いので読みごたえあり。
時間かかります。


日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)


タイトル通り、教科書だけでは知り得ない
日本の歴史についてあれこれ言及した一冊。
網野先生の著作はどれも刺激的だけど
ご本人が書いたものは文章が難しすぎる。論文のよう。

でもこれは、先生がお話になったことを文章化した「採録もの」。
なのでとても読みやすい。


教科書で習った「常識」がいかに違っているか。
百姓という言葉ひとつとっても
本来は「百」の「姓」、つまり名字を意味し
いろんな職業という意味だったのが
どこから農民になったのか。
水呑百姓とはほんとうに貧しいだけの農民だったのか。
そういうステレオタイプな日本のイメージを
根底からくつがえしてくれる。

ただ結論は出ておらず
「そうではないか」「そう考えられる」という
推論がほとんど。
そこはちょっと消化不良・・・

いずれにせよ知っていたつもりで
知らなかった「日本国像」が多々語られています。