新宗教と巨大建築 (講談社現代新書) | |
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「信仰の空間」を解読する!
なぜ前近代の宗教建築は賞賛され、近代以降の教殿はいかがわしいまなざしで見られるのか。天理、大本、金光、PLなどの建築と都市を直視する。
建築史における近代宗教――英雄的な建築家の営みとアヴァンギャルドの連続で語られる近代建築史と、寺社建築を軸に構成される日本建築史の狭間にあって、ほとんど顧みられなかったのが近代の宗教建築である。……
日本の戦後建築は、モダニズムを民主主義のための建築と規定し、宗教的な要素を切り捨てることで出発した。神社が現代建築から撤退し、進歩史観的な建築史が確立するとともに、宗教建築は近代以前のものとして理解される。……
本書の目的は新宗教の空間を考察することになろう。その際、教団の思想から空間の概念を読みとり、いかに現実の空間に反映させたのかを検証する。いずれも19世紀に登場した天理教、金光教、大本教を具体的にとりあげ、さらに戦後の新宗教建築を幾つか概観する。――(本書より)
結論からいうと肩すかしをくらった本。
タイトルから、勝手に
「新宗教はなぜ巨大建築をつくるのか
そこにはこんな理由があった」みたいな、
新宗教のいかがわしさを探る本かと思いました。
違う。
論文。
学術論文。
新宗教の建築物を、建築学の視点から分析、
またその新宗教のなりたちと、
発展にともなってどのような建物をつくってきて、いまにいたっているか。
という、事実をひたすらにまとめた本でした。
新宗教の教祖、そして発展させた人間の
建築観もまじえながら
なぜ建物がでかくなったのか、
淡々と、淡々と解説。
大体において「信者数が多くなるについて巨大化」という
至極当然のことしか書かれていないのが消化不良。
カタイ内容です。
もうちょっと下世話な話があると思ったけど。
研究対象として新宗教の建築を選んだその視点は、
実に見事です。
建築学の専門書として読めばおもしろい。