2014-04-07

「虫を食べる人びと」三橋 淳(編・著)

虫を食べる人びと (平凡社ライブラリー)虫を食べる人びと (平凡社ライブラリー)
三橋 淳

平凡社  2012-05-12
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ハチやイナゴやザザムシはもちろん、セミ、アリ、タガメ、カブトムシにカミキリムシ…幼虫や蛹や成虫を、そのまま、あるいは調理して、日本で、中国で、アジア各地で、オセアニア、アメリカ、アフリカのあちこちで。人間は虫を食べてきて、いまも食べて暮らしている。そのさまざまな、虫を食べるふつうの暮らしを知るとき、自然に対するこわばりがゆっくりとける。名著の再刊。


昆虫食は地球を救う?

的な論調を、最近よく目にします。
この本は、そんな論調が盛んになるずっと以前、
1997年に発売されたものの再販。

これはいいですね。

虫食べる、っつったら「奇食」「ゲテモノ食い」の
イメージが強いですが、とんでもない。
著者は書いています。
人類は植物を食べ、そして虫を食べ、
その後狩猟をするようになり動物を食べ、
さらには自分たちで好みのものを栽培・飼育したと。

虫を食べるということは、
人類にとって、かつては当たり前だったことで、
それはいまも、虫が容易に採取できる地域では当たり前。

実際に、どんな地域でどんな虫が食べられているか、
実地レポート中心(!)にまとめられています。
著者は複数で、中には現地でしばらく住んで
どんな虫を食べているか詳細にレポートしている学者さんも。


実食レポートが豊富なのが、実におもしろいですね。
虫に「脂がのっていてうまい」って表現使う本、初めて見たわ。

中には「もう食べたくない」って表現された虫も。
あくまで個人の主観にのっとっているのが、かえって新鮮。

アフリカでは、肉より魚より、一定期間にしか採れない虫が好まれるとか。
虫で自転車が買えるとか。

虫は家畜と違って大量飼育が難しく
そもそも小さいため、「量産」しづらく
大量生産しやすい動植物をつくり、それを食べてきたと。
しかし昆虫食こそ、人口増大に対応できる策ではないかと。


虫というのが、いかに人間を支えてきたか。
そして愛されてきたか。
それが垣間見える一冊です。














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