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イラストレーター・文筆家の内澤旬子さんの本を読みました。
世界のあちこちに旅し、動物の「屠畜」の様子を見学、
その風景をイラストと文章でまとめたものです。
(この本で内澤さんは屠殺ではなく屠畜という言葉をあえて使っています)
すばらしく忠実な絵で屠畜の様子を再現しています。
絵がリアルすぎてグロテスクに思える場面も。
しかし文章が非常に読みやすい口語体で
まるで内澤さんの日記のよう。
なのでだいぶ重々しさがなくなっています。
実は以前に著者にお会いしたことがあり
まさに竹を割ったようなカラリとした性格の方でした。
そんな性格を表したような文です。
内澤さんはあっけらかんとしたスタンスで
韓国では犬を食べる習慣についても取材。
犬食にかかわる現場のナマの声をひろっています。
また、日本の屠場にも行き、従業員に話を聞いたりしており
この話がとてもおもしろいです。
被差別部落と屠場の関係性も垣間見えます。
屠畜という習慣は世界中に息づいている「文化」で
むげに否定することではない、そしてそれはこれからも
次の世代に伝えていかなければならない。
そう考えさせられる一冊でした。
同書で紹介されていたアメリカの牧場で牛を育てている女性の
コメントがかなりグッときました。
「この子(牛など)たちかわいいでしょ、でも殺して食べる」ということ。
人間と家畜の関係とは、こういうことなのではないでしょうか。