何人か挙げるとしたら、
必ず入れたい方。
好きすぎて、娘が生まれたら「日向子」にしようと思っていました。
(けっきょくやめちゃいましたが…)
若くして亡くなっていますが、
NHKのコメディー「お江戸でござる」の
コメンテーターだった方、といえば
分かる方も少なくないでしょう。
文筆家としても知られていますが、
そもそものデビューはマンガ。
健康状態の悪化により、デビューから10数年で
断筆してしまいますが、
その期間に描いたマンガが、どれもすばらしい。
唯一無二の世界です。
デビュー作「二つ枕」は、まるで浮世絵。

それをマンガにされた日には。

話に、目立った展開や盛り上がりがないけれど、
とにかく絵柄に圧倒されます。
絵は、時代とともに変化して、
個人的には「百日紅」(さるすべり)という作品のころが
絵柄も話も一番好み。

味がある、とは、こういうことをいうのだと思います。
そしてこの「百日紅」も、実に淡々とした話が続きます。
葛飾北斎とその娘お栄、そしてのちの渓斎英泉、
この3人を軸に展開する物語。
通常物語とは、解決すべきカタルシスがあるものだと思います。
分かりやすい例だと、「敵を倒す」。
このマンガは、そういったカタルシスが、ほぼ、ない。
それなのに、おもしろい。
展開がゆるいのに、その空気感に魅入られる。

ただいわゆる分かりやすいマンガを
求める人には、向きません。
いわゆる「ガロ系」がいけるなら、これもいける。
そもそものデビューはガロだし。
![]() | 二つ枕 (ちくま文庫) 杉浦 日向子 筑摩書房 1997-12 売り上げランキング : 34251 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
![]() | 百日紅 (上) (ちくま文庫) 杉浦 日向子 筑摩書房 1996-12 売り上げランキング : 6895 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
![]() | 百日紅 (下) (ちくま文庫) 杉浦 日向子 筑摩書房 1996-12 売り上げランキング : 12909 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
文庫がリーズナブルかつかさばらないのでおすすめ。
ほんとにはまったなら、全集ですな。
![]() | 杉浦日向子全集 全8巻セット 杉浦 日向子 筑摩書房 1996-04-25 売り上げランキング : 1052789 Amazonで詳しく見る by G-Tools |