2013-04-12

「秘密の動物誌」

秘密の動物誌 (ちくま学芸文庫)秘密の動物誌 (ちくま学芸文庫)
ジョアン フォンクベルタ ペレ フォルミゲーラ 荒俣 宏

筑摩書房  2007-11
売り上げランキング : 129252

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



光る象、多足蛇、水面直立魚―。世界各地には驚くべき未知の動物が棲息していた!数々の珍獣を「発見」したのち謎の失踪を遂げた動物学者、ペーター・アーマイゼンハウフェン博士の偉業を、膨大な写真や詳細な観察記録などから紹介。「存在するとは写真にうつるということである」という逆説が、動物たちの存在証明を主張する。幻の生物たちが闊歩する「あったかもしれない地球」を夢見させ、想像力の冒険へといざなう驚愕の書、待望の文庫化。

世にも奇妙な新種の動物たちの写真、
そしてその生態の解説本。



と思いきや、完全なるフィクション。
しかしあえてフィクションとノンフィクションの境目を
あいまいにつくっている本です。
最初だまされそうになった。
それほど、設定が実にしっかりしている。


いわゆるフェイク・ドキュメンタリー。
この手法は創作物で数多くとられており、
有名かつヒットしたものでは映画
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」などが挙げられます。


この本が実に見事なのは、
前述したその設定の深さ、
そして何より写真です。


写真を見たら、フェイクであることが
すぐ分かるのですが、
それでも「よくつくりましたね!」といいたくなる、
完成度の高さ。そして想像力をかきたてられるような造型。


Googleイメージ検索すれば
その写真の一部が見られます。

本全体を包む、いかがわしさ。
見てはいけないものを見たような感覚。

この本自体がアート作品だと感じました。




このブログを検索