2012-02-13

「ポル・ポト〈革命〉史―虐殺と破壊の四年間」山田寛

ポル・ポト〈革命〉史―虐殺と破壊の四年間 (講談社選書メチエ 305)ポル・ポト〈革命〉史―虐殺と破壊の四年間 (講談社選書メチエ 305)
山田 寛

講談社 2004-07-10
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囚人一万四〇〇〇人、生還者七人の監獄。無軌道に展開した強制労働、密告、そして処刑。社会基盤を破壊し全国民の四分の一を死に追いやったポル・ポト政権はいかにして「革命」を遂行したのか。二〇世紀最大の蛮行、その軌跡と背景を完全解読。

長年カンボジアとその近辺で取材をしてきた
元新聞記者さんの著書。

カンボジアの独裁者として知られたポル・ポト、
そして同国の革命とその後を解説した本です。

これ、すばらしい。
人口800万の国で150万人が殺されたという大虐殺が、
かいま見ることができます。


この本を手にとった動機は
なぜポルポトは虐殺をしたのか知りたいと思ったから。
しかしそれは分からずじまい。
なぜならポルポト自身がその理由を話してないから。
とはいえこの本のいいところは、
事実をほぼ余すことなく書き記し、
そのうえでポルポトの考えを推察しているので
なるほどな、と思わされることしばしば。

個人的に、本書を通して知った
ポルポトのぞっとしたところを以下に列記します。

・権力の表舞台にはできるだけ立たずに
 「まるでマジックミラーから見る」ように
 裏からすべてを操っていた
・知識人層を徹底的に弾圧・虐殺し
 人々から知をうばう
・無垢な少年ほど重用し
 知識もないのに医療にあたらせたり、
 監獄の看守にしたりした
・「少年医師」は当然知識がないので
 医療行為は適当で、そのせいで死ぬ人多数
・権力の座から追いやられたあとも
 徹底して自己弁護・肯定を繰り返した
・結局なぜ虐殺をしたのか語らないまま死んだ
・幹部であっても能力があっても人気があっても
 自分の権力をおびやかす人物は殺す


とにかくぞわっとすることばかり。
こんな人間が権力を握り、
誰も止めることなく進むことが、どんなに愚かか。

著者さんが文末につづった
「カンボジア革命とは一体何だったのか」。
まさにそういう気分にさせられます。
なぜ150万もの人たちが殺されていったのか・・・

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