2012-08-07

「迷宮の将軍」ガルシア・マルケス

迷宮の将軍迷宮の将軍
ガブリエル ガルシア=マルケス Gabriel Garc´ia M´arquez

新潮社  2007-10
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幾多の激戦の末にスペイン軍を撃破、植民地の軛から中南米諸国を解き放ち、ついに独立へと導いた輝ける将軍シモン・ボリーバル。ラテンアメリカ統合の理想実現に燃えてひた走った英雄は、なぜ失意の迷宮に踏み入らねばならなかったのか?“解放者”と称えられた男。その最後の七ヵ月、コロンビアの大河を暗然と下りゆく死への旅路は。―栄光という闇の深さを巨細に描き切る。


神とあがめているマルケスの本。
こちら、実在した人物「シモン・ボリーバル」の
最後の日々を描いた作品です。
もちろんある程度はマルケスの脚色も入っていますが、
できるだけ正確な資料を集めて参考にしたもよう。

暗いです。

後世に残るほどの活躍をした人物の
最後のときが、こんなに暗いのか。

やっかい者のように国を追いやられて亡命した
その旅行のさまを描いた作品なので、
全体的に陰鬱とした雰囲気に満ちあふれています。

マルケスの整然とした文体が読みやすく、
またときどき挿入される過去の話なども分かりやすい。
族長の秋」に比べればとても読みやすいですが、
とにかく救いがない。


文学として、解決すべきカタルシスが
解決されないまま終わるという、
すっきりしない感じは正直あります。
が、全編を通して感じられる陰鬱とした空気、
これが実にすばらしい。


マルケスファンのみならず
いわゆる歴史ものが好きな人にもよさそうです。



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