2009-03-27

『サイケデリックスと文化―臨床とフィールドから』

サイケデリックスと文化―臨床とフィールドからサイケデリックスと文化―臨床とフィールドから
武井 秀夫 中牧 弘允


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内容(「BOOK」データベースより)
向精神性の植物アルカロイドは古来さまざまな民族において用いられてきたが、現代では深刻な反社会的要因ともなっている。幻覚剤と人間との関わりをめぐって国立民族学博物館で行なわれた共同研究「ドラッグ文化の諸相」から生まれた刺激的な論考とエッセイ。ドラッグ関連年表付き。


たいへんこむずかしそうな本ですが、
ドラッグと呼ばれる違法な薬を
精神の治療薬「サイケデリックス」としてとらえ、
それを試したり、それを使っているシャーマンに
取材したりして活用法をさぐった論文集です。

著者はさまざまな立場の方で、
精神科のお医者さんや社会学者など。

サイケデリックスを処方したときの
「トリップ」のようすを詳細にまとめた
部分がたいへんおもしろかったです。
幻覚や幻聴があり、誇大妄想が広がるようすが
実に詳しく書かれていました。

また、もう一つおもしろく読んだのが
オウム真理教で実際に修行した方の体験記。
地下鉄サリン事件前後、教団に入信したふりをして
その修行のようすを詳細につづっています。
これが非常にスリリング。
著者の方は「ミイラとりがミイラになる」ことがないよう、
狂気と正気のあいだで必死になっているのが分かりました。

ドラッグについてここまでまじめに分析した本は
読んだことがなかった(逆に、いわゆる「サブカル」の
ドラッグ本は読んでいました)ので
大変興味ぶかかったです。

いまの日本では認められていないけれど
ドラッグ=サイケデリックスも、
ちゃんと使えば人間にとって有益なものである、
ただしその使い方を誤ってはならない
ということが理解できました。

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