秋山さんは、講演ではご自分が手がけた
仕事をスライドで流しながら、
なぜこういうビジュアルにしたのか、
そしてコピーにしたのか。
そういった「仕事の仕方」「広告のつくり方」を解説してくださいました。
ご本人も「今日は大学2年生になった気持ちで
聞いてください」と前フリされていたように、
「秋山塾」とでも呼びたくなるような「講義」でした。
なるほど!と思ったコメントをいくつか。
「広告とは時間でなく瞬間で記憶されるもの、
あるいは続くもの。」
「広告をつくるときは、自分のイメージが
どこまでメディアになるか、
イメージをメディア化する、ということを考えている。」
「広告をつくるときは、マスターカードのロゴマークを思い浮かべる。
正円が2つ並んでいる。
重なる部分に線がいくつかひいてある。
左の円がイメージ、右がクリエイティブ、線が表現。」
(キユーピーの広告・コレステロールゼロのマヨネーズ
『この商品は、必要だろうか』の広告。
すべて文字のみで構成されている。)
「言葉や内容をいいたいときは文字だけのほうが伝わる。
文字とは情報だ。」
(キヤノンの一眼レフの広告)
「イメージはフレームによってできる。
クリエイターがフレームを操作し、
フレームによってイメージをつくる。」
「被写体によく耳を傾ける。
商品についてつきつめて考える。
それが商品と自分のコミュニケーション。」
「商品を擬人化するのも手。
こうすることで本物にプラスアルファの価値が与えられる。
ナチュラルに高級感を演出できる。」
(ジャック・ダニエルの広告『ナッシュビルの南。』の解説)
「固有名詞は、皆共通のイメージを持つ。」
「形容詞とはあいまいなもの。
イメージを持ってもらうのには不適切。」
「文章を省略して書く。
そうすると読む人が参加していく。」
「ドキュメンタリーはリアルなイメージをつくる。」
「ボディコピーは、最初の一行は導入、
最後の一行で『読んでよかった』と思わせる。
そうすることで記憶に残る。」
「孤独は、広告の一番のテーマ。
そこから表現の泉がこんこんと湧いてくる。」
「愛する人がいても、孤独は存在する。
携帯電話も、最近だとツイッターも、孤独を
慰めているように見える。」
「広告は『あ、そうなんだ』と思わせることが大切。」
正直、これらのコメントは広告の解説とともに
聞かないと、あまり意味のないものかもしれません。
それでも表現の、考えのヒントになりました。
ものすごい思考、考察そして知識のもと、
これらの広告はできあがっているんだな・・・という印象。
広告は商業活動ではあるけど、
アートたりえる。そう痛感させられました。