「エル・スール」アデライダ ガルシア=モラレス

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スペイン人のビクトル・エリセという映画監督の、
同名作品の原作小説です。
中編程度、あまり長くありません。


ビクトル・エリセは「ミツバチのささやき」という映画が
実にすばらしかったのですが、「エル・スール」は未見。
この原作の方は、当時のエリセの奥さんだそうです。

この小説、少女の目から描かれた家族の物語。
思春期のあやうい感じがよく出ています。
読んでるこっちにも、あのころの不安な感情を
思い出させてくれるような内容。
それがいい。

明るい物語ではありません。
それがまたいい。
少女の不穏な感情。共感してしまいそう。

徹頭徹尾、少女の主観で描かれており
慕っていた父が抱えていた秘密が
徐々に解きあかされていく流れが、見事。

切ない気分になれる小説でした。